伝統と革新のせめぎあい

伝統と革新のせめぎあい

ポワンの弟子たちが、第二次大戦後のフランス料理界に彗星のごとく躍り出ました。彼らはそれぞれミシュランの三ツ星を獲得していますから、料理界はポワンの一派で染まった、かと思いきや、どうやらそうでもないようです。

 

ポワンの弟子の中で筆頭とでも言うべきボキューズの店は、従来のフランス料理にはなかった「軽さ」をコンセプトとして、スマートな「ヌーベル・キュイジーヌ」の店として、名声を高めていたのですが、しかし、実は伝統ある店である、「マキシム」「トゥールダルジャン」などでは、伝統的なスタイルをそのまま継承し、それで三ツ星を維持していたのです。

 

さらに、ポワンも古典であるエスコフィエを否定しているわけではありませんでした。そうではなく、エスコフィエの精神に含まれている改革ということを受け継いでいるからこそ、革新的でもあったわけです。

 

ヌーベル・キュイジーヌの流行によってエスコフィエのいわゆる古典の技法が軽んじられることを危惧し、ポワンは原点回帰を提唱しもしたのです。