ヌーベル・キュイジーヌの衝撃

ポール・ボキューズ

エスコフィエの後継者としてのポワンは、エスコフィエがまとめあげたフランス料理の体系をさらに推し進めたことで知られています。ポワンもさらに弟子たちを持ち、その弟子たちがまた新しいフランス料理の形をそれぞれで作り上げていくのです。

 

ポワンの弟子はたくさんいますが、代表的なのがポール・ボキューズ(1926年〜)、トロワグロ兄弟(1926年〜1983年,1928年〜)、クロード・ペロー(1931年〜)、アラン・シャペル(1937年〜1990年)などです。いずれも1950年代以降、それぞれミシュランの三ツ星を獲得しています。これだけの一流シェフを生み出すポワンはやはりすごいとしか言いようがありません。

 

中でも傑出した存在は、ポール・ボキューズです。彼は、ポワンの技法から学び、それをさらに発展させました。彼の言葉として、「エスコフィエは終わった」というものがあります。師匠越えを果たそうとする彼の言葉ですが、他にも「料理書にある料理を作るのではなく、毎朝市場に足を運び、自分の眼で気に入った素材を選び、料理を考えるべきである」というものがあります。この時代になると、流通も進化してきて、新鮮な素材を手に入れることが可能になったこともこの発言の裏にある事情です。

 

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素材重視?

ポワンの弟子であるボキューズの時代になると、素材というものの持つ意味が大きく変わってきています。

 

古典料理は、かなり重たいソースで作られているものがほとんどです。その理由は、必ずしも鮮度の良い食材が手に入るとは限らない中で、いかに味のクオリティを保つか、といことに腐心していたからなのです。そのために、香りの強いハーブ、スパイスを用いて、さらにバターやクリームによって味の濃厚さを加えます。そのことで、ある程度素材の鮮度が悪くても、それなりの味になると言うわけです。

 

ポワンは、素材重視の料理を作り始めた最初の人物であると言えますが、ボキューズの時代ではもうそれは当たり前になっていました。魚にしても、冷蔵庫を積んだ車で運ぶことができます。

 

ボキューズは、ポワンの方法をさらに発展させ、小麦粉、フォン・ド・ヴォー、さらにフュメ・ド・ポワソンも使わず、また、フランス料理には欠かすことのできないバターや生クリームも使用料を減らしました。そのことで、素材そのものの味を全面に出そうとしたのです。

 

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